推し一筋なので彼氏はいりません
「あのっ!」
花純さんと絡んでいる男2人組の間に割って入る。
「嫌がってるじゃないですか。」
「お友達?君も可愛いね。
あ〜、けど高校生に手出しちゃまずいかな〜?」
「同意のもとなら問題ないじゃん?」
「私たち同意してませんけど。
ね?花純さん。」
「あ、うん……。」
「同意させるから問題無し。」
男が一歩踏み出したと思った時、目の前に大きい背中が現れた。
「俺は蹴らないでくださいね。」
「もちろんです!」
「彼女たちに何か用ですか?
この学校、幸いなことに警備員さんが常駐してるんですよ。呼びましょうか。」
「いや、俺らはちょっと話しかけただけで……。」
もごもごと何かを言ったあと、男たちは走って逃げていく。
「うちって警備員いましたっけ?」
「いませんね。
けどさすがに2人同時に撃退するのは、菅野さんでもなかなかでしょう?」
「確かに。
花純さん、大丈夫でしたか?」
「愛衣ちゃん!」
振り返って声をかけると勢いよく名前を呼ばれ、びくっとしつつも返事をすると、花純さんに手を握られた。
「私と付き合ってください!」
「えっ?」「は?」
予想外の告白に、思わず先輩と間抜けな声を出してしまった。
「助けに入ってくれた背中が頼もしすぎて惚れました。」
「えっ…と?ごめんなさい……?」
「そうだよね。急すぎたよね。
じゃあ友達からでも!」
「それなら……。」
「いやいやいやいや、ダメですよ!
だから関わっちゃダメって最初に言ったのに。
花純もさっさと帰れって……。」
「愛衣ちゃんがいいって言ってるんだからいいじゃん。ね?」
「あ、はい。」
「じゃあ連絡先交換したいな。良い?」
「もちろんです。」
「まじでいい加減にしろよ。
菅野さんは絶対譲らないから。」
「私だって本気だし。
それに譲る譲らないじゃなくて、愛衣ちゃんが決めることだから。」
「あー、会わせるんじゃなかった。」
「あんたがいなくてもきっと出会ってましたー。」
「あの、おふたりとも、喧嘩は……。」
美形ふたりがこんなとこで口喧嘩してると目立って仕方ない。