推し一筋なので彼氏はいりません



《佐山 暁良side》


花純が菅野さんと文化祭を回りたいと言い始めたため、菅野さんの優しさから3人で回ることになった。

俺は2人のままがよかったけど。


菅野さん可愛いし、絶対そのうち好きになられる気がしてたから、花純には会わせたくなかったのに。


花純はなんだかんだモテるから、もしかしたら菅野さんも好きになってしまうかもしれない。

それは本当に困る。


「愛衣ちゃん何食べたい?
なんでも買ってあげる。」


「ずるい事すんなよ。」


「いいじゃん。
私は可愛い子に使うために働いてんの。」


「そうでしょうね。」


「あの、花純さんはおいくつで……?」


「22だよ。専門学校出て美容師してます。まあまだまだだけどね。」


「美容師さんなんですね。」


「上手になったら招待するからぜひ来てね。」


「はい!」


「ちなみに愛衣ちゃんはさ、暁良のことどう思ってるの?」


「それ俺がいる前で聞く?」


「いいじゃん。」


「んー、人としては好きなんですけど、恋愛とかちょっとよく分かんなくて。」


「はいきた。これ私にも勝ち目あるね!」


実際俺の事を好きって言ってた子が、いつの間にか花純と付き合ってた事もあったし、確かに勝ち目がないとも言えない。


「勘弁してくれ……。」


「ほんとに好きなんだね。愛衣ちゃんのこと。」


ボソッと呟いたのが花純には聞こえていたようで、小声でそう言われる。


「好きだよ。」


「ごめんね。私も結構本気で好きかも。」


「いいよ別に。菅野さんが素敵な人なのは知ってるし、仕方ない。」


内心びびってるのかもしれないけど、平気な顔して自分よりでかい男の人相手に堂々としているところを見れば、好きになる気持ちも分かる。

俺が最初菅野さんのことを気にし始めた要因も、あの逞しさだしなぁ。


< 63 / 98 >

この作品をシェア

pagetop