推し一筋なので彼氏はいりません
第二節
12月も残すところ1週間程になった頃。
先輩が、大学に受かったからお祝いにクリスマスにデートをしてくれとお願いしてきて、特に予定もない私はそれを聞き入れた。
そしてそのクリスマスは明日。
ちなみに今日は終業式があって、明日からは冬休み。
「いいなぁ、クリスマスデート。
どうせイルミネーションとか行くんでしょ?」
「私何も聞いてないんだよね。どこ行くんだろう。」
「てかさ、ふたりはまだ付き合ってないんだっけ?」
「付き合ってないよ。」
「もうなんで付き合わないのかわからん。
誘われたら毎回乗ってんじゃん。ふたりで遊ぶの楽しいんでしょ?」
「けど恋愛感情かと言われたら分からないし、男女だからって気が合ったら絶対に付き合わないといけないわけでもないでしょ?」
「まあそうだけど。
でももう半年以上、学校ある日はほぼ毎日愛衣に会いに来てるんだよ?そして隙あらば告白してくる。
こんなに長い間、ずっと同じ熱量で、ってかどんどん増してる気もするけど、片想いしてくれる人もなかなかいないよ。」
「それは確かにそうではあるんだけど、だからこそ真剣に考えたいっていうか……。」
「そういうとこ真面目だよね。」
「まあね。」
「絶対また告白してくるよ?クリスマスだし。」
「今のところは、またお断りさせていただくしかない。」
「まじかぁ。
じゃあ先輩に可能性出てきたら教えてよ。」
「わかった。そのときは言うね。」
「ちなみにあの文化祭の美人さんの可能性は?」
「花純さんね。
あ、そういえば今日この後会う約束してるよ。」
「愛衣はいつの間にイブと当日で別々の人とデートするようなモテ女になったんだ。」
「いやモテ女ではない。」
「モテ女じゃん。
で?その花純さんの可能性はないの?」
「んー、よく分かんない。
文化祭であったのが初めてだったし。」
「可能性に満ち溢れてるね、愛衣は。」
「そうだね。」
「誰かとなにか進展あったらぜひ聞かせてください。」
「はい。」