推し一筋なので彼氏はいりません
翌日。
先輩には、13時頃に菅野さんの家の前まで迎えに行くから待っててと言われたので、言われた通り準備を済ませて待っていた。
すると本当に丁度13時にインターフォンが鳴る。
鳴らしたのが先輩なことを確認して、ママに声をかける。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい、楽しんで〜。」
玄関を出ると、先輩が笑顔で立っていた。
「わざわざ迎えに来てくれてありがとうございます。」
「菅野さんの可愛い姿を一番に見たかっただけなので、気にしないでください。」
「あ、はい……。」
そう言われるとこっちも気を使わないし、嬉しいし、先輩が好かれる理由がよく分かる気がした。
「前に室内で何か観賞するようなところが好きって話をしてたので、今日はプラネタリウムに行こうかと思うんですが、好きですか?」
「好きです!といっても機会がなくて、小さい頃に数回行った記憶がある程度なんですが。
星も好きですし、プラネタリウムのあの空間もなんか好きです。」
「よかった。」
「先輩は?好きですか?」
「好きですよ。星も、プラネタリウムのあの空間も、菅野さんのことも。」
「いや、私に関しては聞いてないです。」
「あれ、そうでしたか?」
「そうです。」
「急に言えば少しくらい照れてくれるかなって思ってたんですが、いつも通りで残念です。」
「それは残念でしたね。」
何回か照れてる時もあった気がするけど。
「まあこれも想定内です。そのうち私も好きですって返してくれるのを期待してます。
さあ、行きましょうか。」
「多分そんな日は来ないですね。」
「えー、そろそろ諦めて好きになってくれても良くないですか?」
「先輩こそ、そろそろ諦めてくれてもいいんですよ?」
「俺は諦めませんよ。俺は絶対菅野さんが良い。」
先輩は気づいてないのかもしれないけど、さも当たり前のように言うこういう言葉の方が照れる。
「あ、そういえば昨日花純とデートしたんですよね?」
「はい。」
「どこ行ったんですか?」
「オムライス食べて、水族館行って、ちょっとショッピングもして、夜景見ながらご飯食べました。」
「いいですね。楽しかったですか?」
「はい、とても!」
「ですよね。
今日はそれを超えられるように頑張ります。」
「別に勝負とかじゃないし、頑張らなくても……。」
「俺にとっては似たようなもんですよ。
菅野さんが花純の方が好きってなったら困る。」