推し一筋なので彼氏はいりません



「すごくよかったですね!
プラネタリウムってこんなに綺麗だったかな、って思いました。」


「わかります。
ちょっとハマりそう。」


「わかる!また来たいです。」


「また来ましょう。」


「はい。」


「この後どうしましょうか。
クリスマスですし、クリスマスマーケットとかイルミネーションとか、いろいろ考えたんですが、菅野さん人混み苦手そうだなぁって。
普通にこの辺ぶらぶらしたり、本屋行ったりします?」


「確かに人混み苦手です。
でも、せっかくクリスマスなのにいいんですか?」


「はい。俺は菅野さんと居られればどこでもいいので。
極端な話、いつもみたいに教室の前で話してるだけでもいいですね。」


「全然特別感ないですね。」


「世間的には特別な日なのかもしれませんが、俺にとっては普通の日と変わらないので。」


「じゃあなんでクリスマスに誘ってくれたんですか?」


「それはもちろん、クリスマスの街の雰囲気に流されてあわよくば付き合ってくれたりしないかなって。」


「ないですね。」


「ないかぁ。残念。」


「先輩、何かある度にもしかしたら…って考えすぎじゃないですか?」


「恋愛ってそういうもんでしょ。」


「いや知らないです。」


「だよね、俺も知らないけど。」


「知ってるみたいな言い方したのに。」


「そういうもんかな?って思って。」


「でもそういうものなんでしょうね。
じゃないと片想いなんてできないですよね。」


「そうですね。
いつどういうことで相手が好きになってくれるか分かりませんからね。」


私もそのうち何かがきっかけで先輩を好きになったりするのだろうか。

しつこさに負けてまあいいかってなる想像はできても、好きになる想像はできない。

そもそも好きが分からないから想像できないのが普通かもしれないけど。


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