推し一筋なので彼氏はいりません
「暁良って彼女の前で結構態度変わるタイプだね。」
「まあ意図して変えてるわけじゃないけど。菅野さんが可愛すぎて意識しなくてもこうなる。」
先輩が人前で惚気け始めるのは知ってたけど、私がいるところでしないでほしい。
「彼女さんのどこが好きなの?」
相田さんも掘り下げないで欲しい……。
「全部。菅野さんが菅野さんだから好きとしか言いようがない。
でも強いて挙げるとすれば、意外と照れ屋なとこ、俺必要か?ってくらい逞しいとこ、声、わりと塩対応なとこ、賢いとこ、優しいとこ、あと強めの押しに弱いとこ、サラサラの髪、笑顔、スポーツも出来るとこ、」
「待て。多い多い。強いてどころじゃない。」
心構えしてないところに思ったより大量の愛がぶち込まれて、嬉しさと恥ずかしさで戸惑う。
「……ちょっと先輩静かにしてください。」
「はい。
おい相田黙ってやるぞ。」
「え、めっちゃ素直。
彼女さんがうちのサークル居てくれたらいいのに。」
「静かに。菅野さんの邪魔。」
「はいはい。」
ようやく話を切り上げて課題を進めだした相田さんに安堵して、私も勉強を進める。
「ありがとう助かった!また来るわ。」
「もう絶対来んな。」
1時間ほどで相田さんは帰って行って、部屋が一気に静まり返る。
「お騒がせしました。
もうこっちでやってもいいですよ。もちろんそっちの方がよければそのままでも。」
「そっち行きます。
分からないとこいくつかあるので教えてください。」
「喜んで。」