推し一筋なので彼氏はいりません



「菅野さん好きです。」


「はい、知ってます。」


「ふふ、可愛い。」


愛おしいと言わんばかりの顔で私を見つめ、頭を優しく撫でられる。

はたから見たらほんとただのバカップルなこの時間だけど、先輩の気持ちがよく伝わってきて結構好きだ。


「先輩。」


「はい?」


「私は先輩が好きで先輩といますよ。」


さっき先輩以外の人を好きになる可能性があった、という風なことを言ってしまったのが少し気にかかっていて、一応フォローというか、勘違いされていないかが気になった。


「はい、知ってますよ。」


「それ私の真似ですか?」


「あ、バレました?

でも本当にちゃんとわかっているので、そんな顔しなくても大丈夫ですよ。」


「…よかった。」


「俺の誕生日とイベントが被って、イベント行くか悩んでくれる時点で、俺の事だいぶ好きなんだなぁって思いました。」


「え、悩んでたの知ってたんですか?」


「知らなかったんですが、さっきの会話の流れ的にそうなのかなって。

遥斗さんと張れる日が来たなんて、もう俺だいぶ愛されてますね。」


「…そうですよ。だいぶ…愛してます。」


そんな私の言葉の後、数秒間部屋に沈黙が訪れる。

先輩の顔を覗き見ると、さっきの笑顔とは打って変わって、赤くした顔の口元を片手で覆い、困った顔をしていた。


「……今日素直すぎません?
さすがにそれは可愛いがすぎますよ。」


「先輩って普段好き好き言いまくってるわりには、言われるのに弱いですよね。
さっき好きって言った時も、ちょっと照れてましたし。」


「好きは言う方担当なので。
たまに返ってくると毎回ドキドキしてます。」


「可愛いですね。」


「菅野さん相手だとポーカーフェイスなんて出来たもんじゃないですね。」


「私は好きですオーラがダダ漏れの先輩の方がいいと思います。」


「菅野さんがそう言うならいいか。」


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