ムーンサルトに 恋をして
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最終演技終え、個々に演技のような形で回転しながら落下防止用のネットへとダイブして、深々と礼をするメンバーたち。
ジルは受け手専門なのか、ジル自体の演技は見られず。
ジルも同じようにネットへと下りて終わるのかと思った、次の瞬間。
ジルは自らが乗っていたスイングバーを漕ぎ出し、スイングの最高到達点部分に差し掛かった所で更に上部にあるバーへと飛び移った。
観客の視線が彼に釘付けになる。
ジルはテントの一番高い部分に程近い場所から、片手を上げ深々と礼をした。
そして、膝も曲がらず足先までピンと張った状態で眼下のネット目掛けてクルクルクルッと華麗に舞い降りた。
会場から溢れんばかりの拍手と感嘆の声が鳴り止まない。
これが、彼の住む世界なのだと、初めて知った。
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フィナーレは、演者全員がステージ上に出て来て笑顔で挨拶をする。
もちろん、ジルの姿もある。
そんな彼らを見ていると、横にいる緑川さんが声を掛けて来た。
「空中ブランコは飛んで演技するよりキャッチする人の方が何倍も実力が無いと無理なんだそうですよ」
「そうなんですか?」
「以前、サーカスの団員の方に教わりました」
やはりそうなんだ。
だから、ジルは受け手だったのね。
緑川さんの話では、キャッチした後のリリースするタイミングが一番重要らしくて、それが出来るのは経験と実力と絶対の信頼感が備わってないと無理らしい。
ほんの少しのミスで、リリースするメンバーの怪我に直結するからだ。
だから、ジルが残りの4人の命を預かっているという。