ムーンサルトに 恋をして

浴衣を着て城下町を散策するだけでも十分すぎるのに、隣を歩く彼は外国人なのに浴衣姿が様になっているというか、眼福すぎるほどカッコよく見える。
イケメンは何を着ても似合うらしい。

レンタル店でジルに扇子を買ってあげた。
それが気に入ったようで、暑さを凌ぐために扇いでくれている。

近くのお蕎麦屋さんで昼食を摂り、再び城下町を肩を並べて歩く。
慣れない下駄で歩くのがぎこちない私に彼が手を差し伸べてくれた。

7月中旬、夏真っ盛り。
日差しも強く、汗が滴りそうなほど湿度も高い。

「ジル、少し休もう?」
「OK」

彼の手を引き寄せ、かき氷の旗が揺れるお店に入る。
私はいちごミルク、彼はあずき抹茶を注文した。
サーカステントでも夏場はかき氷が販売されるらしいが、本格的なかき氷は初めてだという。

朝からずっとジルの笑顔を見れて倖せだ。
頬杖をついて美味しそうに頬張る彼を見つめていると、彼がウインクした。
その姿さえも絵になる、イケメンすぎて……。

「ナナ、今日のデートは Birthday present?」
「ん~それもあるけど、マンハッタンのお礼かな」
「あぁ…」

近くに座っている女の子たちがジルを見て『イケメン』だと騒いでいる。
散策してる時もすれ違う女の子が皆振り返っていたし、誰が見ても彼はイケメンらしい。

彼の誕生日祝いのつもりでも、これでは私がプレゼントを貰ってるみたい。
倖せすぎて。

「ナナ」
「ん?」
「OK?」
「えっ?」

カシャッ。
何故か、彼に撮られたらしい。
メイクを直す間もなく……。

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