覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)
 


 知り合いに有名店のシュークリームをたくさんもらった秋馬は、

 たまには衣茉に差し入れでもしてやるか、
と思った。

 帰りに寄って、渡して帰ろうと思ったのだが、電話をしてみると、衣茉は出かけていると言う。

「そうか。
 お前の好きなシュークリームがあったんだが」

「えっ? そうなんですか?」
と言う衣茉は、マンション近くの森に、最近、ちょっぴり恋愛ものを書けるようになった原因の男といると言う。

「じゃあ、持ってってやるよ。
 四つもあるし」
と秋馬は言った。

 その男の顔を見てやろうと思ったからだ。

 ってか、なんで、森にいるんだ?

 二人で月でも見上げて、きゃっきゃ、うふふと語り合っているのだろうか、
と複雑な気持ちで、森の中を進んでいくと、二人は並んで木のベンチに座っていた。
< 307 / 438 >

この作品をシェア

pagetop