覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)
 斜め向かいの席では、衣茉の父親世代の男性が涙ぐみ。

 その後ろの席では、しゃべって邪魔しないようにか、子どもの口を押さえていたらしい母親が、まだ押さえたまま、微笑んでくれていた。

「衣茉……」
とそれらの光景を見ながら、八尋が言う。

「ここでプロポーズしてよかった」

「そうですね」
と衣茉も微笑む。

「また来ような。
 家族が増えても、ずっとここに通おう」

 はい、と衣茉は頷く。

 食事のあと、店員さんたちが、
「おめでとうございますっ」
とちょっぴりデザートをサービスしてくれた。




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