覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)
「結婚式に来たとき、挨拶が長くて、なかなか食事にありつけないなあと思ったこと、皆様、ございませんか?」

 衣茉たちと同じテーブルにいる吉行や明子が、あるある、という顔をする。

「『えっ?
 ちょっと待ってっ。

 あのテーブルに水が置いてある人たちって、もしかして、全部挨拶する人っ?

 何人いるんだよっ!』

 ――って思ったことありませんか?」

 心当たりがあるらしき、みんなが笑う。

「というわけで、今日はご挨拶される方のご厚意で、まず、乾杯ということになりました」

 はい、乾杯っ、と乾杯の挨拶に出る人もなく、いきなり秋馬が乾杯する。

 ずいぶんくだけた式で、しょっぱなから、ゆる~い雰囲気が流れていた。

 新郎新婦の紹介も秋馬がするのを食べながら聞く。
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