完璧生徒会長はとろける甘さの恋を描きたい
【第2章】
○五時間目のあと、教室

千和(はー……結局五時間目、サボったことになっちゃったし……)
<教室にとぼとぼ戻ってくる千和。ため息>

芽生「あ! 千和、五時間目、どうかしたの?」
<親友の芽生が心配そうに声を掛けてくれる>
<芽生の席は窓際で、バッグに荷物を詰めていた>

千和「芽生! あ……」
<ほっとして名前を呼ぶが、ハッとする>

千和(まさか生徒会長の秘密を知っちゃって口止めされてたなんて言えない……!)
<内心、やばいという顔>

○教室の窓際

千和「ちょ、ちょっとね! 貧血気味で保健室にいたんだ」
<芽生の席まで行く>
<千和の席は芽生の前>
<自分も荷物を詰めはじめる>
<焦って言い訳を話す>

芽生「え、大丈夫?」
<心配そう>

千和「うん、もうなんともないよ」
<にこっと笑ってみせる>

芽生「それならいいけど……今日はもう早く帰りなよ」

千和「そうするよ。ありがと」

芽生「私は今日、生徒会の作業があるから一緒に帰れないなぁ。ちょっと心配」
<何気なく口に出す>

千和(!! そうだった、芽生は生徒会役員……)
<ハッと気づく>

千和(つまり、相坂先輩の本性を知ってるのでは?)

千和「あ、あのさ、芽生」
<思いついたように>

芽生「うん?」

千和「その、相坂会長ってどんなひと?」
<何気なくを装って>

芽生「なに、藪から棒に」
<不思議そう>

千和(うっ、ちょっと直球過ぎたかな!?)
<内心、詰まる>

芽生「もしかして」
<気付いた顔>

千和「えっ」
<ぎくっとする>

芽生「千和も相坂会長に恋しちゃった……とか?」
<にやっと笑う>

千和「……は?」
<変な顔になる>

芽生「うんうん、わかるよ。会長、すごく優しいし、誰に対してもにこやかだしね」
<納得したように頷く>

千和(なんか誤解された気がする)
<複雑な顔>

芽生「生徒会長・相坂 晴陽っていえば、テストは毎回学年トップ、体育も得意で、レクリエーションでもいつも選手だっていうし」
<流れるように説明していく>

千和「うんうん」

芽生「それにあの容姿! 優しげで、どこか憂いがあるっていうの?」

千和「う、うん」

千和(めっちゃ怖い顔だったけど!?)
<内心、睨まれたときの顔を思い出した>

芽生「そりゃあ、学園一モテるわけだよねぇ!」
<うっとり>

千和「そうだね……」
<力なく>

千和(役員さんの前でも優しいみたい……じゃあさっきの、なんだったのかなぁ)
<不思議に思う>

芽生「で? どうして相坂先輩に興味を持ったの?」
<にこっと笑って、追及してくる>

千和「えっ」
<ぎくっとする>

千和(ど、どうしよう……、秘密を知っちゃったからなんて……)
<内心、おろおろ>

○教室の入り口から晴陽が入ってくる

晴陽「おい、降矢」
<つかつかと近寄ってくる>
<教室にいた女子生徒たちが色めきだつ>

千和「え!?」
<びっくりして振り返る>

芽生「あれっ、会長じゃないですか!」
<ぱっと明るい顔になる>

晴陽「ん? 柏樹じゃないか。降矢と友達だったのか?」
<芽生を見て、意外そうな顔>

芽生「はい! ちょうど会長の話をしてたんですよ」
<何気なく、にこにこ言う>

千和「えっ! ちょ、芽生!」
<焦ってしまう>

晴陽「……ふぅん?」
<含みのある目で千和を見る>

千和「う……」
<詰まる>

晴陽「それはなんか嬉しいな。褒めてくれたか?」
<笑みに戻って、芽生に向き直る>

芽生「もちろん! 会長はなんであっても完璧だって話をしてました」
<ドヤッと>

晴陽「ありがと。ちょっとくすぐったいな」
<愛想良いスマイル>

千和(どうしよう……)
<そわそわしている>

千和「あ、その! 私そろそろ」
<焦ってこの場を離れようとするが>

晴陽「そう、降矢。お前に用があるんだ。ちょっと付き合ってくんない?」
<晴陽にずばっと言われてしまう>

千和「ええ……」
<困ってしまう>

芽生「えー! どうしたんですかぁ、会長! いつの間に千和と仲良くなったんです?」
<きらきらした様子で興味を示す>

晴陽「うん、ちょっと縁があってね」
<愛想良いスマイル>

千和「そうなの……」
<力なく同意>

晴陽「じゃ、行こうか」
<千和を出口へうながす>

千和(まだいいとは言ってないのに!)
<不本意という顔>

千和(でも断れるわけない……)

千和「……はい」
<諦めてついていくことにする>

芽生「良かったね! 頑張ってきて!」
<ぽんっと肩を叩いてくる>

千和(なにを!?)
<内心、白目>

千和「う、うん。じゃあ、また明日ね」
<引きつった笑いで、手を振る>

晴陽「じゃあな、柏樹」
<芽生に軽く挨拶>

芽生「はーい! お疲れ様です!」
<笑顔でいい返事>

千和(うう……まさか改めて捕まるとは……)
<出口へ向かいながら怯えている>

千和(嫌な予感しかしない……!)

○生徒会長室、二人きり
○生徒会長のデスク、テーブル、ソファに棚などがある小さな部屋

晴陽「なに? そんなにカチンコチンになって」
<生徒会長のデスクについて、書類(名簿)を見ながらゆったりしている>
<緊張して固まっている千和を見て、不思議そう>

千和「いや、だって……昼休みの件でしょう……」
<ソファに座ってカチンコチン状態>
<おどおど聞く>

晴陽「当たり前だろ。そうじゃなきゃ一般生徒のお前を生徒会長室に入れると思うのか」
<呆れたという顔>

千和(さりげなくdisられた気がする)
<内心、ちょっとムッとする>

千和「そうですよね……」
<愛想笑い>

晴陽「それで、これからの話なんだけど」
<書類をデスクに置き、顔を千和に向ける>

千和「なにかあるんですか? 相坂先輩が『きみこ』……」
<つい言いかけてしまう>

晴陽「降矢。なんか言った?」
<にっこり笑って、脅すように>

千和「はっ! い、いえっ!」
<ハッとして、ぴしっと姿勢を真っ直ぐに>

晴陽「ったく、なんて日だ。まさかバレた上に自爆だとは思わないだろ……」
<うつむいて、大きくため息>

千和(確かにそういうことに……もしかして結構うっかりさん?)
<ちょっとおかしくなる>

晴陽「なんだ。変な顔しやがって」
<顔を上げて、不審そう>

千和「い、いえいえ! それより、これからってなんですか?」
<慌てて首を振り、話を戻す>

晴陽「ああ。お前、生徒会に入れ」
<ズバッと言う>

千和「……は?」
<変な顔>

晴陽「いいだろ? 部活もやってないじゃん」
<さらりと>

千和「え。なんでご存知なんですか?」
<不思議に思う>

晴陽「……。……さっき調べたんだよ」
<しばらく黙る、気まずそうに言う。言い訳のよう>

千和(さっき……? 昼休みのあと別れてからまだ二時間も経ってないけど)
<もっと不審に思う>

千和「そ、そうですか」
<一応、同意する>

千和(まぁ、先生とかに聞けばすぐわかるもんね)
<自分に言い聞かせる>

晴陽「もう名簿に入れといたから」
<さっき見ていた名簿を、ピッと出す>
<千和の名前が一番下に書いてある>

千和「ええっ!? 私、いいって言ってないですが!?」
<超びっくり>

晴陽「よそに言いふらさないかどうか、監視しとかないとだからな」
<承認の判を押しながら、しれっと言う>

千和「そんな……疑わなくても……」
<おろおろ>

○ガタッ(晴陽が席を立つ)

晴陽「疑って当然だろ。それにお前には生徒会でやってほしい仕事がある」
<静かに話しながら>

○つかつか近寄ってくる

千和「仕事? 今、入れって言われたばかりなのに、なにもわかりませんよ」
<近付かれてどきっとしながら、不思議そうに晴陽を見上げる>

晴陽「そうじゃない。お前」
<ずいっと顔を寄せ、あごに触れる>

千和「え……」
<頬をほんのり染め、ぼうっと晴陽を見上げる>

晴陽「お前、俺の彼女になれ」
<真剣な顔で千和を見つめて言う>
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