こじらせイケメン葉澄くんの愛が重い!
〇放課後。運動部の学生が帰っていく遅めの時間。
 潤は走って学校に戻ってきていた。

潤(明日、一限目に英単語テストあるなんて知らなかった!)

 ちひろたちと帰っている時に教えられ、英単語帳を机に入れたまま帰ってしまった潤は大慌てで教室に引き返してきたところ。
 誰もいない薄暗い教室には、潤と同じく英単語帳を取りに来たらしい葉澄の姿があった。自分の机から教科書を出している。

潤「あっ、もしかして御門くん? はじめまして、わたし、今日転校してきた佐々木潤です。隣の席なんだ~、よろしくね~!」
葉澄「……どうも」

 フレンドリーに話しかける潤だが、葉澄はかなりそっけなく目も合わせようとしない。若干気まずい潤は、気を遣って葉澄を褒める。

潤「いや~、御門くんめっちゃ格好いいね⁉ わたし、隣の席って知ってびっくりしちゃって……。さ、さすが都会!」
葉澄「…………」
潤「お仕事もあって忙しいって聞いてるし、私で手伝えることがあったら言ってね。テスト範囲教えてくれとか、ノート写させて欲しいとかさ!」

 葉澄は普通に喋りかけてくる潤に少し驚いたように戸惑いを見せる。何か言いたげな素振りを見せているが、ふいっと顔を背けられてしまった。

葉澄「……もういい? 急ぐから」
潤「あ、引き留めてごめんね! また明日!」
葉澄「……」

 バイバイと手を振るが葉澄は無視。

潤(ちょっと馴れ馴れしかったかな?)

 転校が多い潤は、誰とでも仲良くなろうと頑張る性格のため、葉澄にそっけなくされてもあまり気にしていない。


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