乙女は今日も夢を見る

観月くんが私の言いかけた声に気づいてくれたのに驚く。

かなり小さい声だったし、声かぶっちゃったから絶対聞こえてないと思っていたが、きちんと彼に届いていたらしい。

「そう?じゃあ、後で話そう。俺も…高梨さんに話したいことあったから」

「う、うん。わかった」

ドキン。

急に真剣な表情になった観月くんに思わず胸が高鳴った。

いつもニコニコ優しい彼にしては、あまり見せない顔で内心、驚く。

「じゃあ、もう少し頑張ろう」

「観月くんも」

バタバタと急いでクラスメイトの方に向かう観月くんの背中を見送る。

私に話したいことってなんだったんだろう?

意味深な観月くんの言動が気にならないと言えば嘘になる。

けど、とりあえず今は早く文化祭の準備終わらせないとだよね。

うん、私ももう少し準備頑張ろう…!

よし!と小さく気合を入れ直し、私も教室に向かって足を早めたのだった。

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