乙女は今日も夢を見る
「鍵、返してくるよ。っと!そうだ、高梨さんこのあと少し時間ある…?」
「うん、おもちの様子見てから帰ろうかなって思ってたから大丈夫だよ」
私の返答にホッとしたような表情を浮かべた観月くんは「すぐ戻してくるから」と足早に職員室内へと足を進めた。
そんな彼の後ろ姿を見送り、私は小さくため息をこぼす。
先ほど聞いた如月さんの友達とのゴタゴタの件について未だに心の隅に引っかかっていたのだ。
だって、イマイチ、観月くんが女の子と揉めたということが信じられない。
もしかしたら、お互い誤解しあってる部分があるのではないか。
私は観月くんのことも、如月さんのことも好きだし…2人が誤解しあってるのだとしたらなんとかならないかなとも思うけど…。
正直、部外者の私がどこまで立ち入って良いのか、測りかねていて。
観月くんがもし、話してくれたら、私は先入観持たずに第三者の立場で話を聞こう。
そう心に決め、私は観月くんが鍵を置いて戻ってくるのを1人待っていた。