乙女は今日も夢を見る
それに、そんな私にも最近お気に入りの場所ができた。
休み時間の数十分は、適当に教室で過ごせば時間は経つけど、問題は昼休み。
流石に私も1時間もの長い間、賑やかな教室内にいるのはメンタルにくる。
というわけで…。
「やっぱり天気がいいときはココ最高ね〜!」
教室の戸締まりをした私は、最近お気に入りの学校敷地内にある裏庭の小さなベンチにやって来ていた。
7月に入り、だいぶ日が長くなってきた夕方のこの時間。
ここは、グランドや体育館からは少し離れた場所にあるため部活生に会うことも滅多にない穴場スポット。
天気が良い昼休みや放課後は、もっぱらこの裏庭にいるのが私の日課になっていた。
「あんまり早く帰るとお母さん心配するから。ちょっとブラブラしながら帰らないとね」
母も周りより1ヶ月ほど遅れた高校生活を過ごす私を気にかけているようで…。
『…悠理。あんた中学の時に比べて帰り早いけど…友達と遊んだりしないの…?』
と、早く帰ってくる私に遠慮がちに声をかけてくる始末。