乙女は今日も夢を見る

夕方になったとはいえ、夏真っ盛りのこの時期は西日が強い。

裏庭は木陰で涼しい方ではあるが、気温が高いからか、じわじわと汗がにじむ。

今まで、クーラーが効いた教室で作業をしていたのもあり温度差で夏バテしそうな勢いだ。

「暑いね〜…」

「本当に。今度からおもちに水もこまめに持ってきてあげないと熱中症になったら大変だよな」

心配そうにそう話す観月くんに私もコクリと頷いて同意する。

確かに、これからの時期もっと暑くなっていくだろうし。

おもちの様子を見るとまだまだ元気なように見えるけど、暑い間は気をつけてあげないといけない。

「ゴメンね…うちで飼ってあげられれば1番いいんだろうけど…お母さん、動物ダメなんだよね」

サラッとおもちの白い毛を撫でた。

実はおもちを見つけた数日後、自宅で飼えないかと母に相談はしてみたのだが…。

『あら…悠理。私猫アレルギーあってくしゃみが止まらなくなるのよ。だから猫はちょっとね…』

と、やんわり却下されてしまったことを思い出し小さくため息をこぼす。
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