乙女は今日も夢を見る
「観月くんに頼んだらきっと合わせてくれると思うよ?」
「ふーん、まぁそうね。そのうちお願いするかも」
若干考え込むようにそう言う花鈴。
普段なら二つ返事でお願いする彼女にしては珍しい。
「おっけ。その時は言ってね。それでとりあえず、今週末おもちを観月くんのおじいちゃんの家に一緒に連れて行くことになったんだ〜。あ…!どうせなら花鈴もその日来る?」
観月くんからおもちを連れて行くのを手伝ってほしいとメッセージが来て、承諾したばかりなのだ。
「今週末…?へぇ。観月くんって案外策士ね〜。悪いけどその日はパス。観月くんに初対面で空気読めないって思われるの嫌だし」
空気読めない…?
彼女の発した言葉にクエスチョンマークを浮かべていると。
「はいはい。悠理は考えなくていいの〜。とりあえず無事におもちちゃんを観月くんの家に連れて行くミッションをしっかりこなす事だけ考えときなさいね」
なんて小さくため息をこぼしながら花鈴がそう言うものだから益々わけがわからない。