乙女は今日も夢を見る

「……」

一瞬、花鈴は押し黙ったことで沈黙が流れる。

しかし、次の瞬間には。

「もういいわ…。私、頭が痛くなってきた〜。この話はおしまい!」

と、唐突に話をぶった斬った花鈴によって強制終了させられてしまった。

「え!なんで!?」

「そんなに気になるなら、自分で咲人に聞いて!私が色々勝手に話すとアイツ怒るから面倒だもん」

「えぇ〜…」

彼女の口ぶりから咲人の好きな人が誰なのか花鈴は知っているようだ。

咲人、花鈴には話してるのになんで私には教えてくれないんだろう…。

チクンとほんの少しだけ胸に痛みを感じる。なんだか自分だけ仲間外れにされたような気持ちになってしまったのだ。

「言っとくけど、咲人の好きな人を第三者の私が勝手に暴露するのもよくないから言わないだけよ?てか、悠理が咲人の立場でも嫌でしょ?勝手に好きな人バラされるの」

「う…。それはそうだけど…」

花鈴の言うことがあまりに、正論でぐうの音も出ない。
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