乙女は今日も夢を見る

「ニャン」ときなこが、ひと声鳴いたのを皮切りにおもちも「ニャー」と鳴く。

それはまるで、挨拶でもしているかのよう。

「ニャー、ニャン」

「ニャ!」

しばらくすると…きなこがそっとおもちの匂いを嗅ぎ始めた。

ケンカにならないかと、ドキドキと緊張している私達4人の心配をよそに、いつの間にか2匹はじゃれ合って遊び出していて。

そしてその姿を我関せずといった感じで、あくびをしているあんこ。

よかった…とりあえず、他の猫ちゃん達とうまくやれそうね。

「あら〜、きなこもすっかり、おもちちゃんが気に入ったみたいね。うふふ。よかったわ」

「あぁ、どうなるかと思っとたがこの調子なら大丈夫じゃろ」

観月くんのおじいさん、おばあさんも嬉しそうにそんな2匹の様子を眺めていた。


*******


「あら、もう帰っちゃうの?悠理ちゃんまたいつでも遊びにきてね?」

「悠理ちゃんならいつでも大歓迎だよ」

「ありがとうございます」

おもちもすっかり観月くんのおじいさんの家に慣れてきた頃、私は帰りの準備をしていた。

時刻は14時過ぎ。

「あ、お昼までご馳走になってしまって…」

「いいのよ〜。簡単なものしかできなくてごめんなさいね。次、来るときはもっと美味しいものを準備しとくわ」
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