乙女は今日も夢を見る

「ありがとうございます…!でも、今日の焼きそばもすっごく美味しかったです」

私がそう言うと、おばあさんは嬉しそうに微笑む。

「ふふ。悠理ちゃんは褒め上手ね〜。じゃあ、彼方、悠理ちゃんをしっかり送り届けるのよ?」

「わかってるって…じゃあ、じいちゃん、ばあちゃんまた来るよ。おもちのことよろしくな」

「おじゃましました…!」

荷物を持ち、玄関先まで見送ってくれた2人に最後にペコリと頭を下げた。

その時。

「ニャン」

私達が帰ることを悟ったのか、おもちがトテトテと、玄関先までやって来てストンと座る。

「おもち〜またね。きなこちゃんと、あんこちゃんと仲良くね」

私はそんなおもちに向かって優しく声をかけ、ひと撫でした。

「ニャー」と、まるで私の言葉に答えるように鳴くおもちを置いて、私と観月くんは、笑顔でその場を後にしたのだった。

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