乙女は今日も夢を見る
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「今日は、本当にありがとう。観月くんのおかげでおもちも幸せになれるよ〜」
おじいさんの家からの帰り道、私は隣を歩く観月くんに感謝の言葉を伝える。
成り行きでおもちと出会って数ヶ月。
おもちにあんなに素敵な飼い主が見つかるとは想像もしていなかった。
それもこれも、観月くんがご両親に話してくれたり、協力してくれたおかげ。
「いや、俺は特に何もしてないよ。でも、あれだな〜。学校でおもちに会えないのなんか変な気分かも」
「確かにね…。学校でおもちに会えないって思うとちょっと寂しい気もするけど…でも、おもちにとっては、観月くんのおじいさん達と暮らすのが絶対良いもん!」
「きなこちゃんと、あんこちゃんもいるしね」と付け加えた私に観月くんは同意するように小さく微笑む。
「それにしても…やっぱりこの時間帯はまだまだ暑いね…部活生大変そう〜」
観月くんのおじいさん達の家から、学校の近くまで戻ってきていた私達。
フェンス越しに見えるグランドには、野球部、サッカー部が練習している光景が目に入ってくる。