乙女は今日も夢を見る
「あ!サッカー部いるね!畠中くんも今日は部活かな?」
何の気なしに私は観月くんにそう問いかけた。
「…あぁ、うん。だろうね。あの中のどっかにいると思うよ」
「そっか〜。大変だね〜」
暑い中御苦労様と、心の内で労っていると。
「畠中のこと…気になる?」
「え?」
突然、観月くんの口から飛び出した質問にグランドから視線を移し、彼の方を向く。
「実はさ、ばあちゃんと話してるの聞こえてたんだ…俺と畠中だったらどっちがタイプってやつ…」
言いにくそうに口ごもる観月くんに私は目を見開いた。
うそ…。あの恥ずかしい会話…聞こえてたの!?うわぁ…な、なんて言えば…。
顔から火が出るとは当にこのこと。
恥ずかしさから思わずサッと視線を背けてしまった。
すると。
「…やっぱり、ばあちゃんの手前、俺じゃないってこと言いづらかったんだよね?」
…ん!?
私が視線をそらしたことで、何を勘違いしたのか観月くんが申し訳なさそうにそんなことを言い出すものだから、今度は開いた口が塞がらない私。