乙女は今日も夢を見る

「確かに畠中良いヤツだし、男の俺から見てもカッコいいし…あ、でもカッコいいって言えば大谷くんも…」

「ちょ、ちょっと待って!とりあえず落ち着こう?」

急にネガティブモードに突入した観月くんをたしなめ、私は彼を見据える。

なぜか、途中からは咲人の名前まで出てきてたし…。

「えっと…私、別に畠中くんが特別気になる…とかではないよ?もちろん、気さくだし、良い人だとは思う!それに正直、タイプとか言われるとよくわかんないけど…。ただ、どっちかと言えば話しやすいのは観月くん」

「…っ!本当?」

瞬間、パッと表情が明るくなる観月くんに私は「あくまで私基準だけどね…?」と言葉を紡いだ。

その後は打って変わって終始、観月くんは笑顔で。

「じゃあ、またね」

「うん!送ってくれてありがとう。次会うときは始業式だね…!文化祭頑張ろう〜」

「え…あ、うん」

帰り際、私がそう声をかけて自宅に入って行った後。

観月くんが「次は始業式…ね」と小さく肩を落として帰って行ったことをこの時の私はまだ知らない――。

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