乙女は今日も夢を見る
ちなみにこの情報は、私が1人教室内で暇を持て余していた休み時間に近くの席で話していた女子グループから得たものである。
それにしても、さっき私のこと“高梨さん”って言ってたよね…。
まさかクラスの人気者の観月くんに認知されているとは思いもしていなかったからそちらも合わせて驚いた。
こんな地味なクラスメイトの名前まで覚えてるなんて、観月くんって良い人なんだな。
若干、感動しつつ。
「…えっと、同じクラスの観月くんですよね…あなたこそ何でこんなところに…?」
私はそう観月くんに質問する。
「あ、俺?俺はこれを取りに…さっき、廊下でフザケてたら自転車の鍵を落っことしてさ、落としたのこの辺だったみたいで探してたんだ」
そう言って、ニコッと笑う彼の手には、鍵が握られていて…。
「そうだったんだ。鍵、見つかってよかったね」