乙女は今日も夢を見る
風邪を引いた日〈観月side〉
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「最悪…マジやらかした」
ピピッと鳴った体温計を確認し、俺は頭を抱える。
【37.8】
体温計に表示された数字を見るとさらに頭が痛くなった。
今日から始業式という大事な日に熱を出す俺って…。
「あらあら、彼方。何〜?熱あるじゃない。新学期そうそう幸先悪いわね〜」
母が俺の手から体温計をサッと取り上げると、そんなことを平然と言うものだからさらに具合が悪くなる。
「あーもう。わかってますよ、どうせ俺は運が悪いからな」
「スネてないで、サッサと治さないと!文化祭もあるんでしょ?」
「わかってるって…」
「お粥とかなら食べれる?今から作ってあげるから待ってなさいね、学校には連絡入れておくわ」
母がそう言って、部屋を出て行った後、俺は1人ベッドの上で小さくため息をこぼした。
「あとで畠中に連絡して…あ、あと高梨さんにも…」
ヤバい。なんかだんだん熱が上がってる気がする…。