乙女は今日も夢を見る
なるほどと、納得した私がそう言った時。
「…ありがとう。というか、高梨さんは結局何でこんなところに?」
ギクッ。
再度そう問いかけられ、私は苦笑いを浮かべた。
どうやらまだ、この話は終わっていなかったらしい。
「えーっと…」
どう答えようか模索する。
だって、ぼっちで暇なので時間潰してましたなんて言いにくいことこの上ない。
しかも、あんまり話したことないクラスメイトに…。
キョトンとした表情で私の返答を待つ観月くんに私は内心相当焦っていた。
「えっと…」
「うん」
「ニャー」
…ん?ニャー?
突如、裏庭のフェンス辺りの茂みから聞こえてきた鳴き声に私はクルリと振り返る。
そしてガザガサと、草むらの中から出てきたのは一匹の仔猫だった。