乙女は今日も夢を見る

「あ、じゃあお願い。私も着替えてくるね」

いつもの優しい笑みを浮かべる観月くんだが、若干元気がないような気がして内心首をひねる。

もしかして…まだ本調子じゃないとか…?

「うん、お化け役頑張って。あと、今日ちょっと話したいことあるんだけど…帰りとか時間ある?」

「今日…?うん、大丈夫だよ。観月くん午後グループだし、終わったらメッセージもらえればそっちに行くよ?」

「あ、じゃあ…16時半に裏庭のところで待ち合わせしよう。その時間帯には着替えも済んでると思うから…」

なぜか少し表情が固い観月くん。

そんな彼の態度を不思議に思いつつも、「じゃあ裏庭で」と同意した私。

その時だった。

「高梨さーん!着替え行くよ〜」

教室の扉付近で花木さんが私を呼ぶ声が聞こえてきて、私は慌てて荷物を掴む。

「あ、今行くー!じゃあ観月くんまた後でね」

「うん…また後で」

くるりときびすを返し、観月くんに背を向けた私は急いで花木さんと如月さんが待つ扉に向かって足を進めたのだった。
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