乙女は今日も夢を見る
如月さんが呆れたようにそう言い放つと。
「えー、だって。普通にお似合いだな〜って思ったからさ。それに、学級委員から始まる恋みたいなのドラマでも王道じゃん?」
つまらなさそうに、花木さんが言葉を紡ぐ。
「ハナってば、それは恋愛ドラマの見すぎ。現実見なさい」
「唯南は現実主義すぎ〜。いいじゃん、ドラマみたいな恋憧れるじゃん、ねぇ、高梨さん…!」
如月さんがズバッと言ってくれたお陰で花木さんはそれ以上は、観月くんの話は出なかった。
代わりに今ハマってるドラマについて語りだした花木さん。
「それで、主人公はクラスメイトの男の子と中学時代の同級生との間で揺れ動くんだけど…クラスメイトの男の子には実は過去に…」
「うんうん」
メイクをする手を止めずに、熱く語る彼女の話に私も聞き入っていると。
〜♪
私のスマホにメッセージが来たことを告げるバイブ音が鳴り響く。
「あ、ゴメン。ちょっとスマホ見るね」
「いいよー、高梨さんはだいたい終わったし、次は唯南しちゃうから」
花木さんに断りを入れ、メッセージの相手を確認するべく、画面を開いた。