乙女は今日も夢を見る

野良猫だろうか?少し痩せてはいるが、白い毛並みにクリっとした青い瞳が印象的な綺麗な猫。

「え!猫…?」

私よりいち早く驚いた表情で、声を上げたのは観月くん。

そして、パチパチと目をしばたたかせながら、猫を見つめると「あ!そういうこと」と意味深に呟く。

…そういうこと?

今度は私がキョトンとする番だ。

「高梨さん、こんなところで猫育ててたんだ…!なるほどね。だからよく教室からいなくなったりしてたわけか。それに、校内で猫の世話してたら怒られそうだし…。だから俺になんて言えばいいか迷ってたんでしょ?」

…どうしよう。なんか盛大に勘違いされてるんだけど。

「大丈夫!誰にも言わないから」と、笑みをこぼした観月くんは猫に近寄っていく。

白猫も人に慣れているのか、観月くんが近寄っても逃げず、むしろ積極的に頭を差し出した手にすりつけていた。
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