乙女は今日も夢を見る
「私達も今、来たとこなんだけど…悠理ちょっと…」
「ん?どうしたの…??」
花鈴がなぜか人が少ない方へ手招きをしてくるから私もそのまま廊下に出て花鈴に近づいた。
「あのさ、来てそうそう悪いんだけどしばらく1人で回ってもいい?咲人一緒だとナンパされないのよ!というわけでしばし、別行動したいんだけどいい!?」
コソッと私に耳打ちをしそんなことを言い出す花鈴。
「私はいいけど、咲人は…いいのかな?」
「ぜーんぜん。咲人にとっちゃ、むしろ私がいるのが邪魔みたいなもんだからそこは気にしなくて大丈夫!」
「そ、そう…?咲人がいいならいいんだけど…。じゃあ、気をつけて行ってきてね」
なぜか自信満々にそう言い放つ花鈴に私は小さく手を振った。
「うん…!ありがとう〜。しばらくブラブラしたら連絡するね……っと、咲人ー!私、1人でしばらく回るからー悠理のことお願いね〜」
最後の方は咲人に聞こえるよう、花鈴は少しボリュームを上げて言葉を紡ぐ。
そして「じゃ、あとでね」と言い残し、すぐ人混みに紛れて見えなくなってしまった。