乙女は今日も夢を見る
そんな彼女の後ろ姿を見送った私はソロソロと咲人の方に戻っていく。
「…何、アイツ?」
訝しげな表情で花鈴の去って行った方向を見つめる咲人に「あ!なんか友達に会いに行くみたいだよ」と適当な言い訳をしておいた。
さすがに出会い目的とは言いづらいし…。
「しばらくしたら戻るから、先にブラブラしておいってって。私もとりあえず、お化けの衣装着替えてくるね」
「わかった。じゃあ、隣のクラスのカフェでコーヒーでも飲んでるわ」
「わかった」
咲人が隣のクラスに向かっていくのを見届けた私は荷物を取りに再度教室の中に戻ろうとした、その時。
「わっ…!」
「ちょちょ、高梨さん!見たわよ〜!あの人でしょ!?例のイケメン…!ビックリした、本当に超カッコいいじゃん」
入口付近で、グイッと腕を引かれ思わず目をしばたたかせる私。
そして、目の前には、花木さんを始め、クラスの女子たち数名がキラキラと目を輝かせて立っていた。