乙女は今日も夢を見る
「高梨さんはどうする〜?」
「えっと。そしたら、とっておいてもらったクッキーとマドレーヌとパウンドケーキ1つずつ…あ、花鈴の分も買っといてあげようかな。2つずつで」
「おっけー。900円ね」
私も注文をすませると、花木さんにお金を渡し、紙袋に入った商品を受け取った。
「食べるのすごく楽しみ…!」
「ふふ。美味しいから楽しんで食べてね。それじゃ、ご来店ありがとうございましたー」
「それじゃ花木さん、頑張ってね〜」
最後に彼女にエールを送り、私と咲人はその場を後にする。
「なんか…ちょっと話し方とか、花鈴に似てたな」
「あ、咲人もそう思う?花木さん花鈴に雰囲気似てるから話しやすいんだ〜。てか、咲人はうちの学際のブースどこか行きたい所ないの?」
テクテクと歩きつつ、私は笑顔で咲人に問いかけた。
せっかく来てもらったのだから咲人の行きたい所も案内しないと…!
「うーん…そうだな」
ズボンのポケットから学際のパンフレットを取り出した咲人が確認するようにそれを眺めていた時。
「あ、あの…すみません!」
突然、声をかけられ、私と咲人は声のする方向に視線を移す。
そこにはうちの制服を来た二人組の女子が緊張した面持ちで佇んでいた。