乙女は今日も夢を見る

「なに…?」

咲人が尋ねると、片方の女子生徒が口を開く。

「あの…私達、文化祭実行委員なんですけど…文化祭の企画で一般の方のミスターコンテストをしてて…良ければあなたに出ていただけないかなと思って声をかけたんですけど…」

ミスターコンテスト…!

まさかの出演依頼に、私が目を見張っていると。

「…あぁ。悪いけど、今忙しいからゴメンね」

咲人は、爽やか笑顔で断りを入れる。

「そうですよね。突然すみません…」

残念そうに肩を落とす二人組がなんだか可哀想で私はコソッと咲人に耳打ちをした。

「何で断ったの?出てあげればいいのに…」

「バーカ。俺は目立つの嫌いだし、正直めんどくさい」

二人に聞こえないくらいのボリュームでそんなやり取りをする私達。

すると、実行委員の女の子は再度思い立ったように「あ!じゃあ、彼女さんと一緒にカップルコンテストの方はどうですか?」と提案をしてきた。

カップルコンテスト…?
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