乙女は今日も夢を見る
ケロッとした様子の咲人を見つめ、私はソッと肩を落とす。
その時だった。
『本日のメインイベントの1つ、カップルコンテスト!今回はどんなカップルに会えるのでしょうか?それでは順番に登場していただきましょう…!』
そんなアナウンスが聞こえてきて、順番にステージ裏で待機していたペアが次々と壇上に上がっていく。
…しょうがない。
もうここまで来たらやるしかない。
内心、緊張で泣きそうになりつつ私は咲人と共にステージへと足を進めた。
『最後のカップルは飛び入り参加!お名前をどうぞ』
ステージに立った瞬間に集まる観客の視線にビクッと身体が強ばる。
そんな中、ズイッと司会の人からマイクを渡される私たち。
『え、っと…悠理です』
『咲人です』
緊張して吃る私とは対象的に普段通りの咲人。
『悠理ちゃんと咲人くんですね〜。いや〜それにしても咲人くんめっちゃカッコいいっすね。彼氏がこんなにイケメンだと悠理ちゃんも大変でしょ?』
『あ、まぁ…そうですね』
司会の男の子にそうツッコまれた私は、とりあえず相槌をうつと、曖昧に微笑んだ。