乙女は今日も夢を見る

表情には出さないようにしつつも、頭の中はフル回転。

色も白くて綺麗だし…ゆきちゃん?
いや、ミルクちゃんとか…??

しかし、思ったよりもしっくりこない名前に焦りを覚える。

名前…名前…白くてきれいで美味しい…、あ!

「名前は…お、おもち!」

突如頭の中に浮かんできた「おもち」という単語を思わず口に出していた。

「そっか。おもちちゃんね!可愛い名前だな。よしよし、おもち〜、今度キャットフード持ってきてあげるからな」

よかった…、なんかごまかせたみたい?

なんとかこの場を乗り切った私は、ホッと胸を撫で下ろす。

「おもちー」

「ニャーン」

「……」

それにしてもこの子…世渡り上手だわ。

観月くんに名前を呼ばれると、平然と鳴いて答える仔猫…いや、おもち。

初めて呼ばれたであろう名前にすら反応を示すという、空気が読めるおもちについ私は関心してしまった。
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