乙女は今日も夢を見る
突然、切り出した俺に少し目を見開いた早瀬は。
「本当にね。あの時は超傷ついたな〜。だって、急に観月はクラスに来なくなるし?しかも、それが気遣いね〜」
頬杖をつき、残念そうに言葉を漏らす。
「…〜っ。マジでゴメン」
俺は正論過ぎて何も言えなくて…。
ただただ、早瀬に対して頭が上がらなかった。
そんな畏まる俺を見かねてか。
「…ふふ。なんとなくわかってたよ。変なところ気遣うもんね、観月は。それに、私も転校のこと秘密にしてたし…少し悪かったな〜って思ってたの。だからさ、お互い悪いところあったわけだし、今日でチャラにするのはどう?」
そんな提案をしてくる彼女に今度は俺が目を見開く。
「でも…」
「よし、これでこの話は終わり!今日は観月と話せてよかった。私もちょっと心残りだったから…ふふ。唯南にも報告しないとね」
サバサバした早瀬の言動に圧倒されてしまいつつも俺は、小さく彼女に向かって「…ありがとう」と呟いたのだった――。