乙女は今日も夢を見る

「それで、今日は返事しにって?」

咲人の言葉に私は小さくコクリと頷いた。

「あのね、咲人のことはもちろん好きだよ。でも、それは友達としてで…だから、咲人の気持ちには…答えられない」

言葉を選びながら、ゆっくりと話す私。

そんな私の話を咲人は最後まで黙って聞いてくれた。

「ま、予想はしてたけど…実際断られるとわりとくるな」

そう言って、少し寂しそうな表情を浮かべた彼にギュッと胸が締め付けられる。

「…咲人」

しんみりとした空気が流れたがそれもつかの間。

「というわけで、俺からも1つだけ…まだ、観月に返事してないんだろ?悠理のことだから、どうせ俺にちゃんと言ってから観月に伝えようとか思ってたんじゃない?」

唐突にそんな話題を振った咲人は、目を丸くする私をよそにニヤリとほくそ笑んだ。

本当にエスパーなんじゃ…。

そう、実は咲人の言う通り。

彼にしっかり返事をしてから観月くんと話そうと考えていた私は、まだハッキリと返事をしていなかったのだ。

「お、ナイスタイミング。ほら、来たよ」

「来たって誰が…え!?観月くん!?」

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