乙女は今日も夢を見る
緊張したような面持ちで問いかけてくる観月くんに思わず胸が高鳴った。
どうしよう…。でも言うなら今だよね。
せっかく咲人がお膳立てしてくれた機会なのだからと意を決して私は口を開く。
「あ、あのね!この前の…告白、まだ返事してなかったから…」
少しだけ声が上ずったことに恥ずかしさが込み上げてきた。
「うん…」
「私も観月くんのこと…好き…です」
「……え?」
私の言葉に一瞬、観月くんはポカンとした表情を浮かべる。
「え、ちょっと待って?俺、フラれるんじゃなくて…え?じゃあ、さっき大谷くんには…」
なぜかそんな勘違いをしている彼に対して。
「咲人にはちゃんとさっき、お断りをしたので…」
と説明する私。
「…っ!うわ…俺、確実にフラれるのかと」
カフェのテーブルに突っ伏して、顔を伏せる観月くんに私はクスッと微笑んだ。
すると…。
観月くんは少しだけ顔を上げ、上目遣いで私の方に向かって手を差し出しすと。
「夢じゃないよね…?」
確かめるように私に尋ねてくる。
「……」
そんな彼の行動に、思わず押し黙る私。
…なんという破壊力。顔が良いのも罪ね。