乙女は今日も夢を見る
こうなったらもうしょうがない!
とりあえずほとぼりが冷めるまではクラスに仲良しな子がいるということにしておこう。
そう心に決めた時。
私は既に自分のクラスの前までたどり着いていた。
ガラッ。
ゆっくりと、教室の入口の扉を開ける。
普段なら、すれ違ったクラスメイトと軽く挨拶を交わし、自分の席についてからは静かに過ごすのがルーティンなのだが…。
今日はいつもと違っていた。
「あ、高梨さん!おはよう」
と、私の姿を見つけた観月くんが大きな声で挨拶をしてくるものだから、一気にクラスの注目が私に集まる。
「……お、おはよう、ございます」
ビクッ。
その視線にビビりつつ、私も観月くんに挨拶を返す。
きっと、私の表情は引きつっていたことだろう。
久しぶりに多数の生徒から視線を向けられたことで、思わず萎縮してしまった私。
しかし、そんな私の思いを知ってか知らずか、観月くんは笑顔で私の席に近づいてくる。