乙女は今日も夢を見る

「おはよう。実は昨日、連絡先聞きそびれたと思って!SNSとか教えてよ」

ポケットからサッとスマホを取り出し、私の前に提示する観月くん。

ちょっと…こんな目立つような所で…やめてほしいんですが…!

ほら、周りもざわついてるから!!

クラスメイトの女子たちの刺さるような視線を感じ、私はサーッと血の気が引いていく。

それに彼がこちらに来るのに合わせて、いつも周りを囲んでいる男子生徒も一緒に私の席まで来ちゃってるし。

正直、迷惑この上ないんですけど…。

心の中でそう毒づいていると。

「あれ?観月…えっと、高梨さんだよな?と、仲良かったっけ?」

キョトンとした表情で、観月くんにそう問いかける男子生徒が1人。

名前は畠中圭佑(けいすけ)くん。

身長は180センチと高身長。

スッとした切れ長の目に、日焼けした健康そうな肌。

短髪の彼はいかにもスポーツマンといった風貌だ。

観月くんとはタイプが違うが、こちらもイケメンの部類で、女子からも人気があるらしい。
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