乙女は今日も夢を見る
「……」
「……」
き、気まずい…。
なぜかいつも明るい観月くんが職員室を出てからひと言も喋ってくれなくて。
「…う、うちの担任って結構適当だよね」
思わず、無言を断ち切るように私の方から観月くんに声をかけていた。
「そうだね。まぁ、でもとりあえず決めないとはいけないし、ホームルームの時に俺からクラスに声かけるよ。高梨さんは板書お願いしていい?」
爽やかにそんな提案をしてくれる彼に。
「うん、もちろん」
と、答えた私はホッと胸を撫で下ろす。
こちらとしては、観月くんが司会をしてくれるなら願ったり叶ったりだ。
…私が声かけても、上手くクラスをまとめられる自信ないしね。
ぼっち生活が長くなると、徐々に大勢の前に出ることさえ億劫に感じるのだとしみじみ思い知らされる。