乙女は今日も夢を見る
ガラッ。
「高梨さん、先入りなよ」
「あ、ありがとう…」
教室の前にたどり着くと、観月くんは教室の扉を開け、私に先に入るように促してくれる。
一つ一つの行動をとっても、こんなに気遣いができる彼は本当に同い年なのだろうか?
そう疑ってしまうほど行動が逐一、紳士的な観月くん。
私はお言葉に甘えて、彼にお礼を言いつつ先に教室内へと足を踏み入れた。
その時。
…!?
入学してから一度も感じたことがなかったクラスメイトたちから視線を一気に受け、私はピタリとその場で固まってしまう。
おそらく、クラスのほぼ全員から今、注目されている…!
慣れない状況に陥り、私が内心戸惑っていると。
「高梨さん…?どうしたの?そんな所で立ち止まって…」
不思議そうに観月くんが後ろから声をかけてきた。
それはそうだ。
観月くんからしたら何でそんな中途半端な所で立ち止まっているのかさぞや不思議に感じることだろう。