乙女は今日も夢を見る
「あ、ううん。何でもないの…!ごめんね、急に立ち止まって…そろそろ授業始まるから席に戻ろう!」
あははと、苦笑いを浮かべながらも、私は取り繕うように言葉を紡ぐ。
「…?そっか何でもないならいいけど。じゃあ、また帰りのホームルームの時よろしくね」
若干、首を傾げつつ、観月くんは最後にそう告げて、自分の席へと戻っていった。
なんとかビビったの誤魔化せた、よね?
そして、私も自分の席に戻り、椅子に座った途端ドッと疲労が襲ってくるのを感じ、心の中でため息をこぼす。
ハァ…。
私、昨日から観月くんには変な所ばっかり見せちゃってるなぁ。
もしかして…ヤバい奴とか思われたかな?
思わず自己嫌悪に陥ってしまうも。
いやいや、落ち込んでてもしょうがないし。とにかく…今日の出し物決めを乗り切るのが先決よね…。
ホームルームの時はせめて観月くんの足を引っ張らないようにしなければ…!
そう固く心に誓い、私は気合を入れ直したのだった――。