乙女は今日も夢を見る
…え!?
私の視界に飛び込んできたのは、道路でつまずいたのか、うずくまっている小学校低学年くらいの男の子。
そして、数メートル先にはトラックが迫ってきていた。
さっきの女性が『危ない』と叫んだ理由がわかった瞬間。
『……っ!』
私の身体はその男の子の元に向かって走り出していた。
『逃げて!!』
歩道にいる数人が男の子に声をかけるも、男の子は身体が固まったように動かない。
キキーッ。
トラックの運転手も、男の子の存在に気づいたようで慌ててブレーキを踏む。
…だめ、今からブレーキ踏んでも間に合わない。
そう考えたのと同時に、私は男の子身体を抱え、勢いそのまま反対側の歩道にダイブした。
『…っ、いったぁ…』
男の子を守るように抱きかかえ、間一髪でトラックをかわしたものの。
勢いよく、地面に身体を打ちつけた私は、痛みで視界が涙で滲む。