乙女は今日も夢を見る
パチパチと目をしばたたかせる彼に不安が募る。
急に友達だなんてやっぱり、迷惑だっただろうか?
「…ごめんなさい!まだ話し始めたばっかりで友達とか急すぎだよね」
なんか自分だけ盛り上がってしまったみたいで恥ずかしい…。
私が慌ててそう弁明すると、今度は観月くんも焦ったような表情を浮かべ。
「…!違うよ。もう俺の中では高梨さん、とっくに友達だと思ってたから改めて言われてビックリしただけで…」
と、声を上げる。
ほ、本当に?
今度は私が驚く番だった。
だって、まさか観月くんにすでに友達だと思ってもらえてるなんて思わなかったし、高校生活がスタートしてからぼっちの私にとってはまさに青天の霹靂。
「ありがとう…。私、高校になって…初めてだよ。友達だって言ってくれた人」
急な事故で周りより1ヶ月遅くスタートした高校生活。
友達作りのタイミングを逃してしまい、想像していた高校生ライフは一変、ぼっちライフの始まりとなった私にもようやく友達だと言ってくれる存在が出来たのだと心の底から嬉しくて。