乙女は今日も夢を見る

それだったら申し訳ない。
いつも、2人には相談してばかりで迷惑かけちゃってるのに…。

そんな思いに駆られ、私は心配して咲人に声をかける。

「いや、そんなことないよ。俺はいつも通りだから」

「そう…?ならいいけど…」

今日はビデオ通話じゃないため、咲人の表情が見れない。だから、声のトーンや口調でそう思ったのだけれど…。

私の考え過ぎだったかな…?
まぁ、咲人が大丈夫って言うならそうなのだろう。

「……」

「……」

一瞬の沈黙の後。

「…あ!そ、そうだ。学校の猫ちゃんはどうなったの?確か…そう!おもちちゃん…!!」

話題を変えるように、花鈴が話し出したのはこの前、2人に報告した学校の裏庭にいた猫、おもちの話だった。
< 56 / 230 >

この作品をシェア

pagetop