乙女は今日も夢を見る

『大丈夫…!?』

しかし、とりあえず助けた男の子の安否を確認しなくてはと私は慌てて声をかけた。

『う、うん…大丈夫、お姉ちゃん…ありがとう』

コクコクと、頷く男の子の無事を確認し、ホッとしたのもつかの間。

いっ、痛っ…!!
え、何この痛み…ヤバいんだけど。

今までに体験したことのないような激痛が右腕にはしった。

『き、きみ…大丈夫?』

『…っ、だ、大丈夫じゃない…です』

通行人のおじさんに声をかけられるも、痛みで上手く返答できない。

冷や汗が頬をつたう。よくよく見ると、手や足からも血が滲んでいる。

『き、救急車…!誰が救急車呼んで!女の子の方、出血してる』

『えっと…救急車は…』

周りも困惑しているようで、どうしたらいいのかわからない様子。

誰でもいいから早く救急車呼んで〜。

絶対、腕折れてるから!!

『…っ』

心の中ではそう叫ぶも、痛みで声にならなくて。

ギュッと目を閉じた時だった。
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