乙女は今日も夢を見る

如月さんが真剣な表情でそう言葉を紡ぐ。

「ううん。そんなことないよ…。あの時助けた子は無傷だったらしいし。それに助けられてよかったなって思ってるんだ」

「……!そっか。そうだよね。ふふ。高梨さんってやっぱり、思った通りの人だった」

一瞬、驚いたように目を丸くした如月さんはなぜか次の瞬間にはフッと柔らかい笑みで微笑んでくれた。

……?

彼女が何に対してそんなに嬉しそうにしているのか、私にはわからなかったが。

「ねぇ…せっかくだし良かったら途中まででもいいし一緒に帰らない?高梨さん、家どのへん?」

なんて言ってくれるものだから、私は思わず固まってしまう。

しかし。

「あ、誘ってくれてありがとう。でも、ちょっと探しものしてて。もう少し時間かかりそうだから、如月さん待たせちゃうの悪いし…」

探していたメモのことを思い出し、私は如月さんにそう返答した。


「…探しもの?何探してるの??」

「このくらいのメモなんだ。筆箱に入れてたんだけど…どっかで落としちゃったみたいで…」
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